以上の手続きを経て認知がなされると、子供は出生時にさかのぼって父親と法律上親子関係があったものとして取り扱われます。
これを、認知の「遡及効」(そきゅうこう)といいます。
それでは、未婚のシングルマザーは、子供の父親に対して養育費をさかのぼって請求できるのでしょうか?
裁判所が子供が出生した時点にさかのぼって養育費の支払義務を認めたケースもあります。
しかし、実務では、未婚シングルマザーが父親に養育費を請求したことが証拠上明らかな時点から後の分までしか認められないこともあります。
したがって、養育費をもらいたい場合は、父親に請求したことを早めに証拠に残しておくほうがいいです。
典型例は、配達証明付の内容証明郵便で養育費を請求するケースです。
最近は、電子メールやラインで請求することもありますが、証拠として有効な内容にする工夫が必要です。
認知や養育費の支払いに応じない父親に対しては、毅然とした内容の文章を送りたくなってしまうものです。
しかし、子供の認知や養育費は、とてもデリケートな問題です。
交渉には慎重さが求められますし、文章を書く場合も、今後の親子関係に良くない影響を及ぼさないよう意識して書かなければなりません。
したがって、父親に内容証明郵便などを送る前に、弁護士によく相談しておくとよいでしょう。
また、弁護士を代理人にする場合は、未婚のシングルマザーの住所を隠したまま、弁護士の事務所を連絡先にして父親に対して書面を送ることも可能です。